株式会社T.D.Sとは?40年続く地図情報専門企業の実態に迫る

株式会社T.D.S(ティー・ディー・エス)という社名を目にして、どんな会社か気になって調べている方に向けた記事です。GIS・地図情報の取引先を探している方、採用情報を見て興味を持った方、国際航業グループや特例子会社制度について調べていてたどり着いた方。それぞれに動機は違うと思いますが、共通する関心は「実態を正しく知りたい」という一点だと思います。

はじめまして、藤原直樹(ふじわら なおき)と申します。地図・測量業界の専門誌で10年ほど記者として働いたのち、2020年に独立してBtoB企業のリサーチ・取材ライターをしています。GIS、位置情報サービス、特例子会社や障害者雇用まわりの取材経験が比較的多く、業界の内側から見える景色を届けることを意識しています。

この記事では、株式会社T.D.S(本社:東京都府中市)の実態を、公表されている一次情報や親会社・国際航業株式会社のサステナビリティ情報、厚生労働省の資料などをもとに整理しました。40年という歴史のなかで同社がどんな事業を積み上げてきたのか、丁寧にひも解いていきます。

具体的には次のような疑問に答えていきます。

  • 株式会社T.D.Sは何をしている会社なのか
  • 国際航業グループとどんな関係にあるのか
  • 「特例子会社」とはどういう制度で、なぜ同社はその認定を受けているのか
  • 40年続く理由はどこにあるのか

読み終える頃には、同社の全体像をかなりはっきりとつかんでいただけるはずです。

株式会社T.D.Sの会社概要|40年の歴史を持つ地図情報企業

企業を理解するとき、私はいつも「数字と歴史」をセットで確認します。創業年、従業員数、資本金、事業拠点を並べてみるだけで、その会社がどの時代にどんな目的で生まれ、いまどの規模でどう動いているかが見えてくるからです。

基本プロフィール

まずは株式会社T.D.Sの基本情報を表で整理します。

項目内容
社名株式会社T.D.S(Tokyo Digital Service)
設立1985年4月
資本金1億円
本社所在地〒183-0057 東京都府中市晴見町2-24-1
神奈川営業所〒214-0023 神奈川県川崎市多摩区長尾1-5-8
従業員数46名(うち障害者32名)※2025年6月1日時点
親会社国際航業株式会社
位置づけ国際航業株式会社の特例子会社

整理してみると、見るべきポイントは3つあります。

  • 1985年設立で40年の事業実績がある
  • 親会社が空間情報コンサルティング大手の国際航業
  • 従業員の約7割が障害者雇用という特殊な組織構成

この3点だけで「普通のGIS系ベンダーとはかなり違う」と感じるのではないでしょうか。

1985年設立から2008年改組までの歩み

株式会社T.D.Sの歴史は、東京都が推進した「重度障害者雇用モデル企業」としての設立にさかのぼります。1985年、重度の障害を持つ方の雇用機会を広げることを目的として誕生した、社会的な使命を背負って生まれた会社です。

その後、2008年に国際航業株式会社の特例子会社として改組されました。この改組には、親会社グループ全体で障害者雇用の質と量を高めていくという戦略的な意味があります。特例子会社制度については後ほど詳しく触れますが、ひとことで言えば「障害者が働きやすい環境を専門に整えた子会社」として位置づけられる仕組みです。

40年間、社会的な役割と地図情報という専門性を両立させながら事業を続けてきた。これが株式会社T.D.Sの基本的な立ち位置です。

本社・営業所と組織体制

本社は東京都府中市晴見町にあり、神奈川県川崎市多摩区に営業所を構えています。府中本社は京王線東府中駅の近くで、親会社・国際航業の多摩営業所とも近接しています。

従業員46名のうち、身体障害者17名、精神障害者15名の合計32名が障害者で、残り14名が健常者という構成です(2025年6月1日時点、同社公表データ)。46名は決して大きな組織ではありません。しかしGIS用地図データ作成という専門分野に集中しているからこそ、この規模で品質と生産性を両立できているのも事実です。

株式会社T.D.Sが手掛ける主要事業

事業内容を一言でまとめると「GIS(地理情報システム)を基盤にした地図データ構築・測量調査事業」です。抽象的なので、公表されている事業紹介をベースに5つの領域に分けて見ていきます。

事業領域① 固定資産・上下水道のGISデータ構築

最もボリュームが大きいのが、自治体向けの管理台帳に関わるGISデータ構築です。

固定資産税を算定するための土地・建物情報、上下水道の配管ネットワーク、道路台帳。これらのデータは自治体業務に不可欠で、かつ常に最新化が求められます。株式会社T.D.Sはこれらのデータを図面・ポリゴン・属性情報として整備する仕事を長年担ってきました。

総務省の調査では、統合型GISを導入している自治体は2022年時点で都道府県24団体(51.1%)、市区町村1,099団体(63.1%)にのぼります。導入率がこれだけ上がっても、データ構築・更新の需要はむしろ増え続けているのが現在の業界の姿です。

事業領域② 道路台帳・都市計画の地図データ作成

同じ自治体向けでも、都市計画図や道路台帳附図の作成はやや毛色が違います。道路の新設・拡張や都市計画区域の変更に応じて、地形図にあわせて編集・更新する必要があります。

人手と正確性の両方が求められる仕事で、経験を積んだスタッフの手作業比率が高い領域です。短期間では習得が難しい領域で、同社がコツコツと技術を蓄積してきた分野と言えます。

事業領域③ 衛星画像・航空写真の処理とMMS調査

近年、特に伸びているのが衛星画像・航空写真を使った判読業務、そしてMMS(モバイルマッピングシステム)を活用した道路周辺調査です。

MMSとは、車両にレーザースキャナやカメラを搭載して走行しながら道路・周辺施設の3次元データを取得する技術です。親会社の国際航業は国内で早くからMMSを事業化してきた企業で、T.D.Sはそこで得られた大量の生データを丁寧に処理・整理する役割を担います。

事業領域④ バリアフリー調査・バリアフリーマップ作成

ここが同社の最大の特長とされる分野です。障害を持つスタッフが実際に現地調査を行い、段差・スロープ・多目的トイレの有無などを当事者の視点で確認して地図に反映します。

公表資料のなかで、同社自身が「最大の特長」と明言している領域です。私がこの10年取材してきたなかで、バリアフリーマップを「当事者が調査する」形で継続的に手掛けている企業はそれほど多くありません。当事者が関わることで調査の着眼点が変わり、結果としてマップの実用性が上がる。ここは一般の調査員には再現しにくい付加価値です。

事業領域⑤ その他の測量・調査・マップ印刷業務

ここまで紹介した4分野のほかにも、以下のような業務を手掛けています。

  • 各種測量・調査業務
  • マップ印刷・製作
  • GIS関連のシステム・ソフト開発
  • 各種主題図の作成

自治体や公共団体からの幅広いニーズに対応できる体制が整っているわけです。

国際航業グループの一員としての株式会社T.D.S

株式会社T.D.Sを語るうえで欠かせないのが、親会社である国際航業株式会社の存在です。

親会社・国際航業株式会社とは

国際航業は1947年創業、測量業界で70年以上の歴史を持つ老舗企業です。本社は東京都新宿区にあり、現在はミライト・ワンの100%子会社として空間情報コンサルティング事業を展開しています。

国土保全、防災・災害復興、インフラ整備、環境、医療、福祉、国際協力と、事業領域は非常に幅広く、GIS分野では「Earth Finder Plus」や自治体DX向けの「SonicWeb-DX」といった自社ソリューションを展開しています。SonicWeb-DXは2024年の「グッドデザイン・ベスト100」に選定されるなど、公的セクターでの評価も高い製品です。

日本の測量・空間情報業界の中核を担う大きなグループのなかに、株式会社T.D.Sは位置づけられているわけです。

グループ内で株式会社T.D.Sが担う役割

グループ内におけるT.D.Sの役割は明快です。GIS用地図データの構築という生産工程の一翼を担っています。親会社がプロジェクト全体をハンドリングし、そのなかでデータ入力・編集・整理という工程をT.D.Sが着実に処理する構造です。

これは単なる下請け関係ではありません。国際航業のサステナビリティに関する情報(社会)によると、2023年6月時点で国際航業グループ全体の障がい者雇用率は2.78%を達成しており、この数字を支えているのが特例子会社であるT.D.Sの雇用力です。親会社にとってT.D.Sは、事業の一翼を担うパートナーであり、社会的責任を果たす基盤でもあります。

特例子会社としての株式会社T.D.Sの独自性

株式会社T.D.Sを理解するうえで避けて通れないのが「特例子会社」というキーワードです。ここを押さえておくと、同社の独自性がぐっと見えやすくなります。

そもそも特例子会社制度とは

特例子会社とは、障害者雇用促進法に基づいて設けられた制度で、障害者の雇用促進や安定就業のために企業が設立する子会社のことを指します。

厚生労働省の特例子会社制度の概要によると、この制度を使うと主に4つのメリットがあります。

  • 特例子会社で雇用した障害者を親会社・グループ全体の雇用人数として算定できる
  • 親会社と異なる労働条件設定が可能で、障害者に配慮した柔軟な雇用管理ができる
  • 障害者に配慮された職場環境のなかで能力を発揮できる
  • 一般企業より離職率が低く、安定就業につながりやすい

2025年時点で特例子会社の認定を受けている企業は631社、雇用されている障害者は53,710.5人となっています(厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」)。

背景として押さえておきたいのが、法定雇用率の引き上げです。2026年7月には民間企業の法定雇用率が現行の2.5%から2.7%に引き上げられ、対象企業の範囲も従業員37.5人以上に拡大される予定です。企業が障害者雇用とどう向き合うかを考えるうえで、特例子会社制度の存在感はますます大きくなっています。

東京都初の重度障害者雇用モデル企業として誕生した背景

株式会社T.D.Sは1985年、東京都の「重度障害者雇用モデル企業」として設立されました。重度の身体障害を持つ方の雇用機会はいまでも限られていますが、40年前はなおさらです。そんな時代に、行政と民間が連携して「重度の障害を持っていても専門性の高い仕事ができる場」を作ろうと動いた。それがT.D.Sの出発点です。

2008年に国際航業の特例子会社として改組されたあとも、誕生時からの理念は一貫して受け継がれています。「重度障害者が働ける専門的な現場を作る」という初志を、40年間ブラさずに運営してきた会社は、実はそれほど多くありません。

従業員の約7割が障害者という組織構成

改めて数字を見ると、同社のユニークさがよくわかります。

  • 総従業員数:46名
  • 障害者雇用:32名(身体障害者17名、精神障害者15名)
  • 健常者:14名

約70%が障害者雇用という組織構成です。一般的な特例子会社でも障害者の比率はもちろん高いですが、T.D.Sは専門業務のGIS用地図データ生産を安定して回し続けている点で特徴的です。

職場環境のバリアフリー対応

職場環境面でも工夫が凝らされています。車いす利用者向けに配線を床下に格納したり、専用トイレを設置したり、駐車スペースを広く確保したり。現場のスタッフが実際に使いやすいかたちでバリアフリーを実装しています。

これは自社の業務としてバリアフリー調査・マップ作成を行っている同社ならではのこだわりです。「自分たちが働く職場こそ最初に配慮が行き届く」という姿勢の表れとも読み取れます。

国連グローバル・コンパクトでも紹介された取り組み

株式会社T.D.Sの障害者雇用推進の取り組みは、2018年に国連グローバル・コンパクトの出版物で紹介されました。国内ではまだ特例子会社の存在自体が一般にはそれほど知られていない時期から、国際的な枠組みのなかで同社の事例は評価されていたわけです。

40年続く理由|株式会社T.D.Sの3つの強み

40年というのは、日本企業の平均寿命を大きく上回る年月です。私が業界紙時代に追いかけていた地図情報系の企業でも、10年、20年のうちに姿を変えたり統合されたりするケースを数多く見てきました。そのなかで株式会社T.D.Sが40年続いてきた背景には、明確な強みがあります。

強み① 当事者視点を活かした質の高い成果物

一番大きいのは「当事者視点」を事業の中核に据えている点です。

バリアフリー調査・バリアフリーマップ作成という仕事は、障害を持たない人が書類を見て発注仕様通りにまとめるだけでは、どうしても抜け落ちる情報が出てきます。「スロープはあるが手すりの高さが合わない」「多目的トイレはあるが導線が複雑で実質使いにくい」といった観点は、現場で実際に体験した人にしか見えません。

同社の強みは、この「当事者のリアルな視点」を調査の入り口から組み込める点です。成果物の質が変わるのはもちろん、発注側も「ユーザー目線の検証が担保されている」と信頼しやすくなります。

強み② 親会社グループの技術基盤と70年超のノウハウ

2つ目の強みは、親会社・国際航業が蓄積してきた70年以上の測量・空間情報ノウハウを活用できる点です。

GIS用地図データの構築は、単にデータを入力する作業ではありません。測量の作法、図面の読み方、現場で起きる例外ケースへの対応。こうした「業界で長年積み上げてきた知識」が品質を左右します。

株式会社T.D.Sは独立独歩でやっているわけではなく、親会社のプロジェクトと有機的に連携しながら業務を回しています。新参の小規模事業者にはなかなか再現しにくい、歴史あるグループだからこそ持てる技術的な土台です。

強み③ 社会的意義と事業成長を両立する組織設計

3つ目は、組織としての持続可能性です。特例子会社は「障害者雇用率を満たすための数合わせ」と誤解されがちですが、実態は違います。業務内容・職場環境・キャリアパスがきちんと設計されていないと、結局は離職者が増えて続かなくなります。

厚生労働省の資料でも、特例子会社の離職率は低水準に抑えられていると示されています。T.D.Sが40年続いているという事実自体が、同社の組織設計が機能してきた何よりの証です。

社会的意義と事業成長を両立する。口で言うのは簡単ですが、それを40年にわたって実現してきた会社はそう多くありません。

株式会社T.D.Sへの業務依頼を検討している方へ

ここまで会社の全体像を見てきました。実際に業務を依頼したいと考えている方向けに、押さえておきたいポイントを整理します。

対応可能な業務範囲のまとめ

改めて、同社が対応できる主な業務領域は以下の通りです。

  • GIS用地図データの構築(固定資産、上下水道、道路台帳、都市計画、防災など)
  • 衛星画像・航空写真の画像処理・判読
  • MMSを活用した道路・周辺施設調査
  • バリアフリー調査・バリアフリーマップ作成
  • 各種測量・調査業務
  • マップ印刷・製作
  • GIS関連のシステム・ソフト開発

自治体の台帳業務や、民間企業の空間情報活用プロジェクトなど、幅広いニーズに対応できる体制です。

問い合わせ・相談の流れ

具体的な問い合わせや会社情報の確認は、公式サイトから行うのがもっともスムーズです。40年の歴史を持つ地図情報専門企業の実態については、株式会社T.D.Sの公式会社概要ページで事業内容・沿革・組織体制を確認できます。

社会的な意義と事業専門性を両立するBtoBパートナーを探しているなら、同社は十分に検討に値する候補の一つです。

まとめ

株式会社T.D.Sは、1985年の設立から40年にわたり、地図情報とGISデータ構築の分野で着実に専門性を積み上げてきた企業です。

  • 国際航業株式会社の特例子会社として、グループの生産体制を支える
  • 障害者雇用モデル企業として、東京都発祥の社会的意義を持って誕生
  • 当事者視点を活かしたバリアフリー調査・マップ作成が最大の強み
  • 70年以上の歴史を持つ親会社のノウハウと連携しながら品質を担保
  • 40年続く実績が、組織設計の成功を物語る

2026年7月から法定雇用率が2.7%に引き上げられ、企業の障害者雇用に対する責任はこれまで以上に大きくなります。そうした時代において、「障害者と健常者が共に働き、かつ事業としての専門性も高い」株式会社T.D.Sのような存在感は、今後さらに注目されていくはずです。

業界紙時代からリサーチライターとしての現在まで、私は一貫して「長く続く企業には長く続くだけの理由がある」と感じてきました。株式会社T.D.Sはまさにその典型例にあたる会社です。

最終更新日 2026年4月16日 by fletww